雨を呼ぶ田んぼ
戸多の若宮というところに、渡辺という名の氏神様が祭ってある。八幡様といっているが、若宮地区の祭神の八幡神社より古いと言われている。
以前は、大きな杉と樫の木とが数町歩も茂っていたので、八幡森と言われていた。そして、そこに二十アールほどの大きな池があった。
この池が今では田んぼになっているが、不思議なことに、この田んぼの田植えの日には、必ず雨が降るのだ。それは本当に不思議なことである。
朝のうちは降りそうでなくても、田植えをしていると必ず降り出すのだ。それも大雨が多く、蓑笠姿でなければ、田植えができない。
雨を呼ぶ田んぼ、田植えには必ず雨が降るという不思議な田んぼである。
話者渡辺氏の記憶でも、ここ四、五十年は必ず降っている。それから、もと池で会った頃の蓮の根がまだ生きていたか、今年も去年もその芽が二、三本でてきた。